【インタビュー】農を軸に旅をして、その時の体験がきっかけで起業した方にお話を聞いてきた


2015年の4月頃、友人の誘いで参加したお花見会に面白い方がいました。その方は、バックパッカーとして農を軸に、タイやインド、イスラエルなど世界10カ国をめぐる旅をした後、その時の体験がきっかけで起業し活動されていました。

同じバックパッカーとして、且つ農に興味のある私としては、話を聞いておかなくては!と思い、旅に出る前にランチがてらお話を伺ってきました。

その方は江里祥和(エリ ヨシカズ)さん、おうち菜園という会社に共同創業者として参画していて、農に関する情報発信、手軽に育てることのできるハーブの通販や、アクアポニックスという”さかなで、野菜を育てる”「アクアスプラウト ~さかな畑~」の販売などを行っています。
本記事を作成するにあたってネットでよくよく調べてみると、未来住まい方会議でご自身の旅のことを書かれていました。ご自身で書いていることもあり、そちらの方が何倍も良くまとまっていますので、まずそちらを読んでいただくことをおすすめします(笑)。

第1回:帰国子女、仕事を辞めて旅に出る、農に目覚める
第2回:帰国子女、タイ北部で2週間のパーマカルチャー農業ボランティアを経験する
第3回:帰国子女、未来の農業「アクアポニックス」にヨルダンの砂漠で出会う|脱線帰国子女、農を求む

本記事では、バックパッカーのすゝめ的立ち位置で、江里さんの旅のリアルな部分をインタビュー形式でお届けしたいと思います。

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インタビューpart1(バックパッカーよもやま話とインドでのお話)

ー バックパッカーの時はどこを巡ったんですか?

全部で10カ国行きました。バックパッカーは初めてだったので最初はタイにしました。バンコクはバックパッカーにとっては有名だったし日本から近いですし。タイには1ヶ月くらいいましたね。

その後カンボジアに行こうと思ったけど、ベルギー人カップルにラオスいいよといわれラオスに行きました。そのあと陸路でベトナム、カンボジアと1ヶ月で3つの国をまわりました。そのあとインドに2ヶ月、エジプト1ヶ月、ヨルダン1週間ちょっと、イスラエルに2ヶ月半いて農業を勉強しました。その後フランスに一番長くて3ヶ月、モロッコを1ヶ月です。

ー 全部の国でVISAはとったんですか?

いえ、とったのはタイ、インド、エジプトだけですかね。タイは最初の国だったので念の為にとっておいた感じで、エジプトは空港ですぐ取れました。インドは取らなきゃいけなかった気がします。普通VISAは入国からカウントだとおもうんですが、インドの場合は取得した時からカウントされるみたいな感じだったと思います*1

ー インドって別の人に聞いてみたら、「色々外国行ったけどもういいかな…」みたいな若干ネガティブな話も聞いたんですけど、江里さんはどうでしたか?

インドは結構でかいので北と南で全然違うんですよ。僕は北に行きましたけど、とにかく自然に圧倒されました。

当時は瞑想に興味があったので、リシュケシュ(リンク先:google map)というところに行きました、そこはビートルズが瞑想したことで有名だったり、ヨガのトレーニングコースが安く受けられることで有名です。観光地化はされていますが、うわぁーっていう人の多さではなかったです。で、僕はそこに1ヶ月くらいいました。そこは聖地なので肉は食べられないしお酒も飲めないのでベジタリアン生活をしていましたね。

ー お〜ベジタリアン生活はいまでも続いてるんですか?

やっぱり肉は好きなので、続いてないですね(笑)。でもそういう生活していたら、肉なしでも、野菜だけでもいきてけるんだなと。野菜がもっと好きになりました。

ー インドではスパイスの効いたカレーらしきものが延々と続くと別の方から聞きましたが実際どうでしたか?

ターリーっていう日本で言う定食を良く食べたんですけど、ワンプレートにカレーとご飯と、生の玉ねぎとかが置いてあって右手で食べる感じです。スプーンもあります。

ー あ、もしかして左手だとダメなんですか?私左利きなんですけど…

そう、僕も左利きなので心配だったんですけど、でも現地でも案外左手を使ってる人がいて、大丈夫みたいでした。

ー それは良かったです(笑)。インドではリシュケシュの他にどこか行きましたか?

僕の場合は、旅している途中で人に会ってクチコミをきいて、あじゃあそこへ行こっかな、みたいなことが多かったですね。インドではとある日本人が山に登ってきて最高だったと言っていたので、じゃあ僕もそこにいってみようかなと思って、実際に行ってみたら本当に最高で。でまたリシュケシュにもどって、2週間くらいいて〜みたいな感じでした。

多分、合う合わないがあるので行ってみないとわからないですけど、人それぞれに合う何かしらがインドにはあると思います。僕の場合は、山登って自然すげーっていうのがインドなんですけど。料理とか瞑想とか宗教とか色々あるので。

ー 瞑想に興味が出たのってどうしてですか?

なんかインドイコール瞑想っていうイメージが強かったですね。
元々瞑想の概念自体は知っていたんですけど、映画でジュリア・ロバーツの「食べて、祈って、恋をして」(リンク先:youtube)っていう映画があって。バリとインドとイタリアを4ヶ月づつまわるんですけど。インドに行った時にしゃべっちゃいけない修行みたいなことをしていて、すごいそれやってみたいなと思って。

調べてみたら、ヴィパッサナ瞑想というのがあって、これは10日間だれとも喋らずひたすら自分をみつめるという瞑想で、僕もそれをしたいと思っていったんですけど、リシュケシュで試しに瞑想ワークショップを受けてみたらどう考えても1時間で限界なんですよ。でもヴィパッサナ瞑想なんてずーっと毎日してるんで、いやぁこれは無理かもしれない。と思ってしませんでした。でも、いつか挑戦したいですね。

ちなみに、ヴィパッサナセンターみたいな施設が世界中にあって、日本でも京都と千葉にあるんですよ。なので日本でもできはします。*1

インタビューpart2 (バックパッカーよもやま話と起業に至る経緯とイスラエルでのお話)

ー 貯金はどれくらいためていったんですか?

300万くらいためていきました。でも旅行中は80万くらいしか使わなくて、逆に準備には40万くらい使った気がします。色々初めてだったんで、いい服を買ったり予防接種をしたり。あとは、海外旅行保険にも入っていました。多分予防接種と保険で2,30万くらいとびました。

ー そういえば、いつごろバックパッカーしていたんですか?

確か2012年の4月に出て、2013年に帰ってきました。

ー では2013年に起業?

いや、それから1年くらい空白があって、その間に今一緒に会社をやってるパートナーとの出会いがあって、2014年4月に会社を設立しました。

ー パートナーの方とはどこで知り合ったんですか?

今のパートナーが僕のブログを読んでくれて、「会いましょう!」となったのが始まりです。

ー どんなことを書いていたんですか?

今はあんまり更新していないですけど、当時は旅のこととか、ちょうどヨルダンにいったときにアクアポニックスという農法のことを知って、そのことを書いていました。

ー ヨルダン!現地の農家がやっていたんですか?

砂漠にビニールハウスがあって、そこでやっていました。

ー 光景がすごそうですね

びっくりですよほんと。僕は元々水族館で働きたくて、そういう専門学校にも行っていたんですけど。
僕の場合は、旅をしながら農に触れることをしていたので、そういう農に触れつつ魚も育てるという、自分のやりたいことに繋がるなと印象に残っていました。

それで日本に帰ってきて自分で調べたりして、アクアポニックスのシステムを作って記事にしていたんです。それを読んでくれたパートナーもちょうどアクアポニックスに興味をもって取り組んでいたので、連絡をくれて。

ー なるほど。アクアポニックスという農法はヨルダンで知って、イスラエルでさらにそれを深めたんですか?

イスラエルではアクアポニックスというよりは、パーマカルチャーという農法の勉強です。パーマカルチャーというのは、持続可能な農業という意味です。パーマが永続的なという意味があって、カルチャーがアグリカルチャーの略だったり、そのままカルチャーっていう意味だったりします。それを教えてもらったのが、実は一番最初にバンコクで知り合ったアメリカ人なんです。しかもその人がインドにも半年いて最高だったという話をしていたんで、インドにも行こうと思いました。

ー そのアメリカ人の存在でかいですね。

そうですね、結構でかいですね、しかもバックパッカー初日ですからね。

ー 元々旅は目的を持って行っていたんですか?

いや最初は本当に何も考えてなかったんですよ。本当に自分探しですよ。知っている土地は観光地になるので、行きたい国も必然的に観光地になっちゃうんですけど、行ってみたら色々な人に会って話を聞いて、それでルートが変わることが多かったです。結構行き当たりばったりな感もありましたね。

元々イスラエルにもいくつもりもなかったんですけど、そのアメリカ人に会って、パーマカルチャーの事を知って、コースを受けたいと思って色々調べていて。でイスラエルでやっているのが一番コスパが高かったので、行こうと思って行きました。

でも普通はイスラエル行こうって思わないじゃないですか。日本に入ってくる情報は少ないですし、ネガティブなイメージもありますよね。僕も行くって決めたものの、そのパーマカルチャーのコースを運営している人に、「今イスラエルではスーパーでガスマスク売っていて、イランと喧嘩してるっていうニュースあったけど大丈夫なの?」ってきいたら、「大丈夫だよ」って言ってて、まじかこわいな(笑)と内心思いつつも、行ってみたら大丈夫でした。一瞬ひやっとしたこともありましたけど。

※ 江里さんのイスラエル滞在の記事
イスラエルに2ヶ月半滞在して感じたこと、伝えたいこと

ー ひやっとしたんですか、怖いですね…。でもイスラエルって投資家と起業家が集まっていてイノベーションの国とも聞きますが実際どうでしたか?

そうですね、そういう面では見なかったですけど、色々詰まってる国という印象でしたね。イスラエルは凄い興味深いですよ。僕戻りたい国を1つだけ選べといわれたらイスラエルですね。

ー おぉ!そうなんですか、どういう意味ですか?人がいいとか食べ物とか風土とか…

よくわかんないんですよ。よくわかんないんですけど、それがいいんですよ。

イスラエルでパーマカルチャーについて学んでいた時に住んでいた場所がたまたまアラブ系の民族が住む場所で、そこではイスラエルの歴史の話を聞きましたね。エルサレムにいくと”嘆きの壁”っていうユダヤ教の聖地があって、その上にイスラム教のモスクが建っていたりします。南には砂漠、北には森があって、街にいくとGoogleの建物があったり、死海にいくとプカプカうけるし、四国ほどのサイズの国に色々なものがありすぎて、ちょっとカオスです(笑)。

あとこれは現地に行かないと分からないと思うんですけど、イスラエルって徴兵制があるので18歳からみんな兵士になるんですよ。戦争が基本的に進行形で動いている国なので、普通にその辺で軍服を来た若者が銃をもって歩いているんですよ。最初は怖いんですけど、慣れてくるとその人たちに守られてる感覚に変わってきて、感慨深かったですね。

ー イスラエルって都会ではあるんですよね?

テルアビブとか大きい街にいけば都会ですし、エルサレムとか旧市街に行くと歴史的な部分が見れます。あとバスでwifiが飛んでるのでそこはITの街って感じがしましたね。あとみんなめちゃくちゃ綺麗な英語を話していましたね。

江里さんとおうち菜園のこれからのこと

ー 会社としては、今まさにアクアポニックスのシステムを作っているかんじですか?

そうですね、今は家庭向けの商品を販売していたり、日本で初めてアクアポニックスの基礎から学べる学校も去年10月にスタートしました。1月から第2期がはじまります。*3

ー 商品は個人向けになるんですか?

個人はもちろんですが、オフィスや施設などとも相性が良いです。循環する菜園(農業)なので、癒しであったり、収穫であったり、自然のつながりを感じるきっかけであったり、ビジネスであったり、人によって惹かれるポイントが多様なのも特徴です。

ー 世界一周して今後はこの分野でずっと食ってくぞ、という意気込みですか?

そうですね。自分のやりたいことですからね。
会社をやっている中での発見があったりするので、最初の構想から少し変わったりもあるんですけど、「家庭菜園を楽しんでくれる人がもっと増えてほしいな」という想いでやっています。

僕自身が海外を巡ってみて、農家になりたいってわけではなく何か育てたいなと思ったんですよ。でも最初実家でやろうと思ったけど場所が無くて…どうすればいいの?というハードルがあって。それで結局アクアポニックスのシステムを自分の部屋の中で作って、部屋のなかでレタスが作れるということをやっていました。

なので、そういうハードルを取り除いてあげて、誰でも農体験ができるような環境づくりをしたいというのはぶれないですね。「”生産者=わたし” を増やしたい」という会社のビジョンがあって、これはみんなが農家になる必要はなくて、一品でもいいから日々の食卓に「これはうちで採れたもの。生産者はわたし」って言えるような社会になったらいいなという想いがあります。

ー なるほど、自分が欲しいと思ったものを作っている形ですね。

そうですね、自分の経験が元になっていますね。あとは世間的にもそういう意識が高まっているのもありがたいと思います。

ー 今日はありがとうございました。今後も応援してます!

ありがとうございました。

編集後記

お話の中で、これぞバックパッカーの醍醐味!と思ったのは、バックパッカー初日にとあるアメリカ人と出会い、話を聞いて、その後の旅の行き先が左右されていったっていうところ。しかも結果的には旅だけではなく、農を軸にした起業にまで至っているので、いやはや旅って何があるか分からないんだなと思いました。ただ、お話を聞いていくうちに元々そういう分野には興味があって、そのアメリカ人や旅そのものが、今後の方向性を絞ってくれたんだなという気もしました。

いずれにしても、普通に過ごしていると得られない知見が諸外国に出ると確実に得られるので、旅をしながら何かしらのモヤモヤをクリアにすることは遠回りなようで意外に最善策なのかもしれません。みなさんもどうぞ良い旅を!



*1) 日本ヴィパッサナー協会サイト
*2) インドのVISA取得に関しては、江里さんの旅行当時から状況が変わっています。最新情報はインド大使館サイトにてご確認ください。
*3) インタビュー当時から時間が経ってしまったので、ここだけ時間軸を2016年1月時点に修正しています。